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  アメリカ歴史散策(その9)

         グレイハウンド・バス
                              
 アメリカ全土を網羅している長距離バスがある。 バスの全国網を制しているのはグレイハウンド社であり、合衆国とカナダ、お よびメキシコの一部を網羅している。「アメリパス」というクーポンを日本で 事前に購入しておけば、アメリカ各地へ乗り放題で行ける。 greyhound03.jpg   バスは昼夜を問わず走り、ほぼ3時間毎に休 憩所に寄る。休憩所には、ファーストフードの レストランや売店があるので、食いつなぐこと の心配は要らない。 ←早朝の休憩(ユタ州)  アメリカの東海岸から西海岸までの距離は、およそ5,000キロである。 南北に立ちはだかっているロッキー山脈を越えて、東海岸から西海岸まで経済 や文化が拡がるためには、それなりの時間が必要だった。  東西を結ぶ通信・交通の歴史を少し拾い上げてみよう。 ・1820年 ミシシッピ川以西に駅馬車が最初に登場(60年代まで隆盛) ・1848年 カリフォルニアで金が発見され,ゴールドラッシュに ・1860年 早馬郵便業者、ポニーエクスプレスが登場 ・1861年 電信線が開通(このためポニーエクスプレスは1年半で消滅) ・1861年 南北戦争勃発(1865年まで) ・1862年 大陸横断鉄道の建設開始、1869年開通(1890年頃に        鉄道網の建設がピークに達した) ・1920年代 バス会社、航空会社が多数設立された  長距離の交通網は、駅馬車→鉄道→バス・飛行機と変化している。 現代は飛行機と自家用車が人々の移動に多く使われているが、長距離バスを利 用する人も少なくない。バスを利用する理由の第一は、やはり値段が安いこと であろう。  ちなみに、[サンフランシスコ(SFO)→ロスアンゼルス(LAX)]と [ワシントン(WAS)→ボストン(BOS)]をインターネットで調べてみ たら次の通りだった。(2006年5月)    交通手段     移動地      所要時間     費用   ユナイテド航空  SFO→LAX  1時間27分   235ドル   グレイハウンド  SFO→LAX  8時間 5分    45ドル   ユナイテド航空  WAS→BOS  1時間 5分    95ドル   グレイハウンド  WAS→BOS  4時間20分    23ドル 費用、特に航空運賃は各種条件で変動するが、バスは飛行機の4分の1以下と みてよいだろう。  かつて、私もグレイハウンドバスで旅行したことがある。ニューヨークから ロスアンゼルスまで、3週間余りかけて東西南北を巡った。乗車距離の合計は 9,000キロ、乗車時間は124時間だった。 greyhound01.jpg  乗客の多くは若者だったが、あまり裕 福そうでない、その土地の人とおぼしき 年配の人もいた。 ←アトランタへ向かう途中    おばあさんと退屈そうだった少年    に、手の影絵遊びを教えてあげた   ↓(アメリカのへそ・カンザスにて)   greyhound02.jpg  ひとつ興味深かった想い出がある。 ワシントン市内を走っていたときだった。バスの前を1台の乗用車が急に右折 してバスに接触したが、乗用車は猛スピードで逃げてしまった。若い黒人のバ スの運転手は慌てる風もなく、車を路肩に停め、B5サイズのプリントを乗客 に配った。それは事故の状況を尋ねるアンケートだった。私はできるだけ運転 手に近い席に座るようにしていたので、見たとおりの事実を記載して渡した。  私が旅行したのはかれこれ20年近く前である。 当時、30日間のアメリパスが3万円強だった。(現在は5万円強) グレイハウンドの時刻表は全米では膨大になるので、当時は事前に遠方の予定 を確認することはできなかった。現在はインターネットで簡単に確認すること ができる。 ------------------------------------------------------------------
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